2021.11.01
日本小児科医連盟ブログ No.3 ~「CSHCN」~
東京大学は、一般的な子どもが必要とする水準以上の保健・医療サービスを必要とする子ども(children with special health care needs : CSHCN)が日本において約12.5%存在すると発表しました。
時代を経て小児慢性疾患の疾病構造が変わったことで、重症度や疾患による生活への影響度を加味しない、従来の診断名のみによる評価では、適切に福祉を必要とする子どもを把握することや支援施策を策定することが困難となりました。そこで米国では、1997年に「身体的、発達的、行動的、感情的に慢性的な問題を抱え、一般的な子どもが要する以上の健康および関連サービスを必要とする、もしくはそのリスクがある子ども」としてCSHCNを定義しました。米国のCSHCNの割合は、2001年12.8%、2017年18.8%と増加しております。
この度の東京大学の研究では、日本においても多くのCSHCNが存在することと、CSHCNの質問該当数と、養育者の不安・抑うつの重症度と統計学的に有意に関連性があることが明らかとなりました。さらに、CSHCNと養育者の不安・抑うつ症状の緩和に人的ソーシャルサポートが有効であることも判りました。
2018年12月に成立した「成育基本法」の規定に基づき、CSHCNとその家族への支援が充実することを願っております。
2021.10.30 委員長 松平 隆光